重厚な転生異世界モノ「リオンクール戦記」の感想・ネタバレ

リオンクール戦記のココが面白い

  • 中世ヨーロッパ風世界を舞台にした重厚な世界観
  • 戦争や地域情勢が不安定な世界の厳しさを表現
  • ライトな立身出世にはない、見たくないものも見せる構成

今回は「リオンクール戦記」を紹介します。
こういった中世ヨーロッパ系で重厚なストーリーだと、私の場合は一番にアルスラーン戦記が頭に浮かびます。
もちろんリオンクール戦記は全く違う個性を持った漫画なのですが、仲間も敵も死んでいくという意味でライトな異世界転生モノではないということをご理解いただきたくアルスラーン戦記を例に挙げてみました。

リオンクール戦記のあらすじ紹介

以下、WEBコミックガンマ 公式サイトのサイトから抜粋です。

平凡で幸せな人生を歩んでいたサラリーマン田中タダシは、41歳の若さで病に倒れた。

ハズだった。
気が付くと彼は、中世のヨーロッパを思わせる世界に立っていた。

暖炉もなく、食事は手づかみ。都市には豚が放し飼い―――
この厳しい世界で、「バリアン・ド・リオンクール」として第二の人生を歩む―――!

リオンクール戦記のネタバレ含む感想

漫画1巻の冒頭に

「リオンクール戦記」本書は この偉大な英雄の歩みを記す 真実の書である

という一節があります。
この文章を素直に受け取ると、いわゆる異世界転生での英雄譚がリオンクール戦記ということになります。
最初に書かれている「この偉大な英雄」はバリアン=異世界転生した主人公であり、いわゆる物語の大枠を一番最初の語りだしに出してきています。
こういう出だし結構好きで、この時点で個人的にはわくわくしました。

時代は乱世でいわゆる群雄割拠している時代。戦乱であふれている時代ということです。
そんな中に現代人を紛れ込ましたらどうなるか。それも平和な現代日本から。
最初は主人公バリアンがそんな時代を生き抜いていく過程が描かれます。

主人公であるサラリーマンだった田中タダシは、伯爵家の次男「バリアン・ド・リオンクール」(7歳)に乗り移るような形で異世界転生します。
最初はわけがわからず、乗り移る前のバリアンが問題児だったこともあり、本人も大混乱ですが周りも結構混乱します。(周りには記憶喪失ということで納得してもらっています)

序盤は41歳のおっさんが7歳になっているので、知識量などで神童扱いされるなどこういった設定ではありがちな展開ですが、中世ヨーロッパな重い世界なので貧民街など結構現実的なところがしっかりと描かれています。こういうのはライトな転生モノにはない表現ですね。
ライトな設定の異世界転生ものも好きですが、やはり中世ヨーロッパモノであればこういった現実的な表現をしっかり入れてくるのは好きです。
そしてこの世界には奴隷という制度があります。ここも奴隷と貴族という身分制度がちゃんと描かれており、物語に重さを加えます。

あと序盤のまだのほほんとした空気を一変させるアルベールというキャラクター。
こいつはリオンクール家の執事なのですが、執事ってなんだっけッて何度も確認しようとするほど頭がイカレテいる、いやこの時代に順応している教育係です。
この人物の登場とともに血なまぐささというか、この時代の過酷さがあふれ出てきます。主人公のモノローグで「現代の価値観を全て破壊しつくした」とされるほどの訓練を受けることになります。バリアンはこの時8歳でしたが、殺すということを学ぶことになります。
こういう表現は好き嫌いがあると思うので、ここで脱落する人もいそうですが、子供向けの漫画ではないので私は許容範囲でした。

そして順調というか順応していったバリアンが14歳になったときに初陣を迎えます。
この初陣も難易度が高いというか、とことん優しくない世界だなぁと思うところですね。
自軍600に対して、敵軍1600。このような時代は数がモノを言う時代ですから初陣から死を覚悟しなくてはいけない、というか戦自体が死を覚悟しなくてはいけないのですが、死を間近に感じて戦うのが初陣となったわけです。
このときはアルベールに感謝しなくてはいけませんね。アルベールの訓練を受けていなかったら現代の甘い思想を捨てきれず、まともに戦うことすらできなかったでしょう。
こうみると、平成そして令和4年現在の日本は平和なのだと実感します。

しかしこの戦はバリアンの英雄譚の始まりでしかなかったということになります。
というかここで何も出来なかったら物語おわっちゃいますよね。
多勢に無勢という言葉を跳ね返し、敵兵に化け物・悪魔呼ばわりされます。
この戦の表現もかなり黒いもので、どんどん首や腕が飛んでいきます。グロいのが苦手なひとは要注意です。

バリアンは軍師ではないので、物凄い策を弄したわけではないのですが、敵を混乱させる策と混乱に乗じて決戦に出て敵将を討ち取ることで勝利を納めます。
ここで注目したいのは、所々に出てくる平凡なサラリーマン田中タダシの残滓というか、捨てきれない人格です。
時々転生モノの中には、転生前の人格どこいったっけ?っていうのもありますが、この重苦しい世界で正気を保つひとつの要素が田中タダシなのかもしれません。

最新第4巻から、兄ロベールとの話がメインになってきています。
優秀な弟、初陣で倍以上の敵を退けて大将首を獲る、そして「リオンクール人らしい風貌」。長兄にないものをバリアンが持っていることで、望まない方向へ物語は進んでいくというながれですね。
ここでもアルベールが不吉なことを言っています。父と兄を退けて、そしてバリアンに国を取らせるという野望です。
そんなこんなで4巻は非常に今後が気になるところで終わっています。早く5巻出してくださーい!

リオンクール戦記の評価

4巻まで読んだ評価としては、ライトな転生モノは大体読み終わったという方や、異世界転生モノが特に好きではなくてもヒロイックファンタジーが好きな方にはお勧めできる内容となっています。
戦記物なので特に笑える要素はないですが、どのように王となっていくのか英雄となっていくのか、漢なら好きなジャンルじゃないかと思います。(こういう表現は良くないんですかね?)

そんなわけで、リオンクール戦記の評価は、(ドラムロール)

★★★★星4つです!

リオンクール戦記アニメ化の可能性について

こういう硬い物語はあまりアニメに向いてないのではないかというのが率直な感想です。
ただ最近は円盤が売れなくても、グッズが売れなくても原作が売れればアニメ化する価値があるような風潮なので、もしかしたらあり得るかもしれません。
バリアン以外突出して人気のあるキャラクターはいない気もするので、そこも気になるところです。(アルベールは悪目立ちという意味では突出していますが)
巻が進み、もう少しそれぞれのキャラクターが掘り下げられていくとワンチャンありそうな気もします。
しかし、結構グロいシーンとか謎の光を入れなきゃいけないシーンとか多いので、その辺も障害になる気がします。

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